・1年半不登校だったBさん

Bさんは中学校入学後、ほとんど学校に来ることはありませんでした。

 中学2年生の12月、同僚の先生からヒーリングで解決できないかと相談を受け、Bさんの保護者の方の許可を受けて、ご家庭で5回ほどヒーリングを施しました。
頭、腹、背中、腰など数カ所ヒーリングをして感情のしこりを解放することを試みました。

少しずつ・・・

 12月中旬になると、数回相談室登校を始めるようになりました。
最初は午前中だけの登校でしたが、12月最後の週に中学校で初めて給食を食べることができ、
終業式の日には初めて教室に入って、他の生徒と過ごすことができました。

 3学期になると、登校して授業に参加することも増えてきました。
2年時の3学期は、母親と一緒に登校して、Bさんが学校に入った後、母親は仕事に行っていました。
しかし、あるとき母親が一緒でなければ学校に入らないと不満を訴え、玄関で立ちすくむことがありました。

見えない感情のしこり

 突然の訴えで職員は戸惑いを感じましたが、ここで無理にでも母親から離さなければならないと感じ、仕事に行ってもらいました。
その後、Bさんは玄関で小さな子どものように泣き叫んでいましたが、20分ほどすると落ち着き、相談室に入室しました。
そのときはBさんの初めての反抗で驚きましたが、振り返ってみるとBさんの心の奥底に隠れていた感情のしこりが爆発し解消したように思います。

高校生活へ!

 それ以降は、登校疲れで遅刻したり、欠席したりすることはありましたが、
何日も続けて休むこともなくなり、3年時には自分一人で登校するようになりました。
現在、Bさんは希望する高校に入学し、楽しく高校生活を送っているそうです。

必要なまわりの支援

 なお、この事例で知っておいてほしいことが一つあります。
それは、ヒーリングだけで不登校は改善しないということです。

 不登校になる子どもたちの多くは、何らかのブロックによって集団の中で過ごすことに違和感を感じています。
ヒーリングはそのブロックを外し、集団の中に入るきっかけをつくりますが、
その後は学級担任や友人らの支援なくしては集団の中で過ごすことは難しいと思います。
登校するようになった後、認知行動療法的なアプローチで集団に適応するように支援を継続することが大切です。
Bさんの場合、学級担任がその知識を有し、Bさんだけでなく保護者に対しても適切な支援活動を継続したからこそ、Bさんが成長できたのだと思います。